教区報「はばたく」に掲載のコラム
2013年バックナンバー

2013年12月号

 幼稚園にいますと、こども達から「せんせぇ、来て~、見て~、」と言われることがよくあります。
「なに?」と応えてそちらへ行くと、鉄棒でくるっとまわったり、木に登ったり、手の中に捕まえた虫がいたり、いろいろなことを見せてくれます。
そのたびに、「まわったねぇ、登ったねぇ、虫だねぇ。」などと答えているのですが、私がちょっと横を向いたりすると、すぐにまた「ねぇ見て!」と言われてしまいます。
見てくれる人がいるということは、 こども達にとってとても大切なことです。

さて、十月には幼稚園の礼拝でこども達とこんな賛美歌を歌いました。

「やさしい目が きよらかな目が いつもわたしを 見ていてくださる。」
(こどもさんびか百十九番)

わたしたちは、神様のやさしいまなざしによって生かされています。

そのことを幼稚園のこども達に伝えるために、これからも頭を悩ませて参ります。

(司祭 牛島 幹夫 )

2013年11月号

 9月末の2週間、フィリピン中央教区のフェリシアーノ司祭を九州教区に迎えることができました。
教区内のいろいろな場所で交流が持たれたことを感謝します。私も、対馬、直方、佐賀などでご一緒することが出来、恵みの時を過ごすことができました。

 フェリシアーノ司祭との会話で特に印象に残ったことを一つ紹介します。
彼は3年半前にラウールという町にある聖ヨセフ教会の牧師に任命されました。
その時に主日礼拝に来る人は5名ほどだったそうですが、現在聖ヨセフ教会の主日礼拝には40名ほどの人が毎週集うようになっているのだそうです。
「いったい何をしたのですか?」と問うと、
彼は「毎週土曜の午後に信徒の家を訪ねてまわり、明日の聖餐式にいらっしゃいと言っている。」と当たり前のように答えてくれました。

 フィリピンと日本、状況は全く違いますが、訪ねることがいかに大切なことであるか、そのことを再確認させられる交わりとなりました。

(司祭 牛島 幹夫 )

2013年10月号

 先日、小倉インマヌエル教会で宣教120周年記念講演会が開催され、中部教区の西原廉太司祭から聖公会の宣教について学びの時を持つことができました。
講演の中で、アイヌ出身の婦人伝道師バチェラー八重子のことが語られました。
西原司祭は、彼女の信仰を伝えるものとして、歌人としても高名であった彼女の歌集『若きウタリに』へ寄せた国語学者金田一京助の言葉を繰り返し紹介されました。

 『聖書を抱いて、いぢらしきものの頭を撫でては祈り、罪あるものの背に向かっては跪いて祈り、明け暮れを、幼い者、弱いものの為に、祈り、祈り、祈り続けて目を泣き腫らして来た女史の声は、終に「若き同族(うたり)に」の一巻をなしたのである。』

 わたしたちの信仰は先達の篤い祈りとともに伝えられてきたということを、今一度心に刻みたいと思います。

参考:バチェラー八重子『若きウタリに』岩波現代文庫

(司祭 牛島 幹夫 )

2013年9月号

 司祭になって以来、教会暦の祝日にはなるべく聖餐式をするように努めています。
幸いなことに、今まで定住した厳原でも直方でもほとんどの日にだれかと共に聖卓を囲むことが出来ています。
共に聖餐に与るのは2~3人ということが多いですが、主日の聖餐式とは違う静かな交わりの中で恵みをいただいています。

 時には、祝日の朝に一人で礼拝をすることもあります。
そういうときは聖餐式の前半だけをして代祷のところで祈りを終えます。
静かな聖堂の中で聖書を読み、祈り、黙想する。これはこれで素晴らしい時です。

しかし、聖餐式文の中には司式者と会衆が交唱する部分が沢山あり、これを全て一人でする時に少し寂しさを感じるのも事実です。

「主は皆さんと共に」という呼びかけに「また、あなたと共に」という声が返ってくる。
こんなに素晴らしいことがあるだろうか!そんな思いを持っています。

(司祭 牛島 幹夫 )

2013年7、8月号

 ある日のことです。チャプレンをしている直方セントポール幼稚園の園児から「一緒に泥だんごを作ろう」と誘われました。
一瞬ためらいを覚えたのですが、思い切って泥だんご作りを始めると、とても楽しくなり時を忘れて夢中になりました。
遊び終わった後で、その時に心にあった重いものが晴れているのに気づき感動を覚えました。

さて、南アフリカのデズモンド・ツツ大主教が文章を書いた「かみさまのゆめ」という絵本をご存知でしょうか。

この絵本の中にこんな一節があります。
「わたしたち ひとりひとりの なかには かみさまの こころの かけらが あるんだよ。」

私は、幼稚園のある教会に遣わされ、大好きなこどもたちと共にいることに喜びを感じています。
この喜びは、こどもたちひとりひとりの中にある「神様の心のかけら」によってもたらされているのだと信じ、感謝しています。

(司祭 牛島 幹夫 )

2013年6月号

 四月に厳原聖ヨハネ教会で主日聖餐式を守った時のことです。
大病を患い一年以上主日礼拝に来られなかったTさんが久しぶりに来会され、皆で喜びにあふれた一時を持つことができました。
Tさんは聖餐式で聖別されたパンを受ける時、必ずうやうやしく頭を下げながら「ありがとうございます。」と感謝の言葉を言われます。
二月から当地の牧師となった私はおよそ二年半ぶりにこの感謝の言葉に接 し、身の引き締まるような思いを感じました。

聖餐式の感謝聖別文の中では司祭の「主なる神に感謝しましょう。」という呼びかけに続いて、「感謝」という言葉が繰り返し唱えられます。
私はTさんの感謝の言葉に接して、自分が聖餐式を司式する時に発する「感謝」という言葉に内実が伴っているだろうか?と反省させられています。

聖餐式を心からの感謝を表すものにしていきたいと願っています 。
(司祭 牛島 幹夫 )

2013年5月号

 誰にでも忘れ得ない礼拝説教というのがあるのではないでしょうか?
私は五月で執事に按手されて十一年になりますが、執事按手式での説教を今でもよく覚えています。
この日、説教者の井田司祭(京都教区)は預言者の召命をひもときながら、執事に按手される私に向かって「み言葉を食べなさい」と話されました。
それ以来私には「み言葉を食べる」とは何か?というテーマが与えられています。

近頃はようやく、み言葉を食べていると実感することが時折起こるようになりました。
特に、何人かの人と一緒に聖書を読み分かちあっている時にそう感じます。
聖書の読み方には人それぞれ好みがあると思いますが、私は誰かと一緒に読む時に、沢山の発見をして嬉しくなる時が多いのです。

それは、まるで親しい友人と最高の食事をしている時のような嬉しさです。
一人でも多くの人と、み言葉を共に食べたい!と願っています。
(司祭 牛島 幹夫 )

2013年4月号

 二月から厳原聖ヨハネ教会の牧師を兼任することになり、大斎節第二主日に牧師任命式が行われました。
牧師任命式では教会委員の一人が聖堂の鍵を牧師に渡します。
このとき、教会委員は新しい牧師に鍵を渡しながら「〇〇師、当教会の信徒を代表して、この聖堂の鍵を渡します。
すべての人に教会の扉を開いてください。またわたしたちの牧者、祭司となり、公祷、聖奠を執行してください。」と言います。
この言葉は教会共同体と牧師とが交わす非常に重要な約束です。この約束で最初に言われるのが、『すべての人に教会の扉を開く』ことです。
教会に定住できない牧師として、文字通りどのように教会の扉を開くのか、大きな課題が与えられています。

牧師任命式の式文(祈祷書四八三頁~)には日本聖公会が牧師の働きをどのように考えているかコンパクトにまとめられています。
教会のすべての人に、この式文をあらためて読み返して欲しいと感じています。
(司祭 牛島幹夫)

2013年2、3月号

 直方キリスト教会に遣わされ、幼稚園を通してジャマイカ人のMさんと出会いました。
彼はとても熱心なクリスチャンです。
ある日、彼から一緒にバイブル・スタディーをしようとの誘いをうけました。
もちろん英語ですから大変なのですが、喜んで誘いを受け一緒に使徒言行録を読み始めました。
彼は聖公会とは違う伝統を持つ教会の信徒です。聖書や信仰への態度も私とは異なっている部分があり、戸惑うことも多々あります。
彼から「あなたの役目はこの礼拝堂が人で一杯になるように祈ることだ。
真実に祈るならここが礼拝する人で一杯になる。」と言われた時にも戸惑いを覚えました。
しかし、言われたことを思い巡らしながら過ごすうちに、礼拝に人が来ない理由を探すばかりで祈っていない自分を発見し反省させられました。
今は、一人でも多くの方と共に主を賛美出来るようにと祈る日々を過ごしています。
(司祭 牛島幹夫)

2013年1月号

 十二月一日、植松誠首座主教司式のもと主教按手式が行われ、新たに武藤謙一主教が誕生しました。
九州教区のみならず、日本聖公会全体にとって素晴らしき日であったと信じています。

この日、植松主教が祝辞の中で「九州教区の皆さん、ほんとうにおめでとうございます。」と言われました。
九州教区の信徒や各教会にとって新しい主教が与えられたのは植松主教が言うとおりとても喜ばしいことです。
しかし、これを「おめでとう」で終わらせてはいけません。
これから私たちは、「私の教会にはこんなに大きな恵みがあります。
また、こんな大変な課題を持っています。」というように、様々なことを新主教に伝えていかねばなりません。
今、私たちには新しい主教の誕生によって、教会の歩みを再確認する機会が神様から与えられています。
神様から与えられたこの機会を十二分に生かして、新主教と共に新たな一歩を踏み出しましょう。
(司祭 牛島幹夫)


 

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