聖公会とは ローゼンタークさんが書かれた聖公会の
紹介を翻訳してみました。(翻訳者:相原太郎)
[nskk general 355](1997.01.27.)の転載
アングリカン・コミュニオン
 160カ国以上に広がる36の独立した教会あるいは管区に、 7000万人近くの聖公会の家族がいます。
 アングリカン・コミュニオンの発展の歩みは、二つの段階に分けることが できます。
 17世紀にイギリスで始まった最初の段階に続いて、アングリカニズムは、 オーストラリ、アやカナダ、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカなどでの 植民地化によって確立していきました。2番目の段階は、18世紀後半から 始まりました。この時代に、2世紀前から形成されてきたイギリスや アイルランドやスコットランドやウェールズの教会の宣教師たちによる 協力した働きによって、聖公会の教会が世界中に立てられました。
 聖公会は、伝統や学問や理性に照らして解釈しつつ、聖書に基づいた 普遍的で使徒的な信仰を保ち、宣言します。イエス・キリストの教えに習い、 教会は全被造物への福音の宣言にたずさわります。その信仰と職制と実践は、 16世紀と17世紀に初めて作られた祈祷書に表現されています。そして、 1888年のランベス会議で承認された「シカゴ―ランベス四綱領」にもっとも 簡潔に示されています。この文章はキリスト者の一致の探究のための信仰と 職制の本質的なしるしとして掲げられたものです。
1. 啓示された神の言葉としての旧新約聖書
2. キリスト教信仰の充分な表現としてのニケヤ信経  
3. キリストが用いられた言葉と要素を確かにともなって執行される 洗礼と聖餐という二つのサクラメント  
4. 歴史的主教制
 聖公会の礼拝の中心はユーカリスト(感謝の祭り)です。これは、 聖餐式、ホーリーコミュニオン、主の食卓、ミサとも呼ばれている。 この祈りと賛美が捧げられる中で、み言葉の宣言とサクラメントの祝いを 通して、キリストの生と死と復活が記念されます。礼拝は、聖公会の心です。 そのスタイルは、シンプルなものから複雑なものまで、プロテスタント的な ものからカトリック的なものまで、カリスマ的なものから伝統的なものまで、 さまざまに変化します。祈祷書は、聖公会の全体にわたって多様に改訂 されることによって、教会の中で見出される幅広い表現を与えています。 その教会の原則は、エリザベス一世の時代から続き、異なるキリスト教的伝統を 結び付けるヴィアメディアを反映しているのです。
 父と子と聖霊の名による水を用いる洗礼は、キリストと教会を一つにします。 他の式には、堅信礼、聖職按手、告解、結婚、病人のための塗油があります。
カンタベリー大主教
 アングリカン・コミュニオンの教会は、愛情とお互いへの忠誠によって 結ばれています。それらは、カンタベリー管区と完全相互聖餐の関係にあり、 このようにカンタベリー大主教は、聖公会の一致のための独特な焦点です。 彼は、10年に一度のランベス会議を呼びかけ、その議長を務め、またACC (全聖公会中央協議会)の総裁役も担っています。聖アウグスチヌスから 数えて103代目の大主教は、1991年4月に就任した ジョージ・L・ケアリー大主教です。
アングリカン・コミュニオンは、 次のようなものによって奉仕されています。
ランベス会議
 ランベス会議は、カンタベリー大主教の呼びかけによって、10年に1度 主教が集まるものです。1867年に初めて開かれて、今日までに12回開かれて います。次の会議の日程は、1998年と発表されています。1978年までは 主教のみの会議でしたが、1988年からは主教だけでなく、ACCのすべての メンバーと、ユトレヒト同盟に属する復古カトリック教会やコミュニオンの 関係にある教会(バングラディッシュ、北インド、南インド、パキスタン)の 代表の主教が集まるようになりました。
全聖公会首座主教会議
 1979年から、アングリカン・コミュニオン の自立した教会の首座主教 (大主教や総裁主教)が、2、3年に一度、神学的、社会的、国際的な課題を 協議するために集まっています。会議の場所は次の通りです。1979年、 エリー(イギリス)。1981年、ワシントン(アメリカ)。1983年、 リムル(ケニア)。1986年、トロント(カナダ)。1989年、キプロス。 1991年、アイルランド。1993年、ケープタウン(南アフリカ)。] 1995年、ウィンザー(イギリス)。1997年、エルサレム。
起源
 ACCは、10年に一度の会議よりもさらに 頻繁に、より多くの代表による教会間のコンタクトの必要性が認められて、 1968年のランベス会議の決議によって作られたものです。この協議会は、 アングリカン・コミュニオンのすべての教会の総会や大会によって承認 されたものです。協議会は、1969年の10月から始められています。
会議
 ACCは、2、3年に一度集まり、 その現在の方針は、世界の異なる地域が出会うことです。 すでに9回の会議が開かれています。1971年、リムルー(ケニア)。 1973年、ダブリン(アイルランド)。1976年、トリニダッド。 1979年、ロンドン、オンタリオ(カナダ)。1981年、ニューキャッスル (イギリス)。1984年、バダグリー(ナイジェリア)。1987年、シンガポール。 1990年、ウェールズ。1993年、ケープタウン(南アフリカ)。 1996年、パナマ。
活動
 以下の活動とプロジェクトは、 ランベス会議と首座主教会議とACCによって、様々な方法 で始められ、実行され、支援されているものです。 パートナーシップ・イン・ミッション(宣教における協働) 姉妹教区プログラムエキュメニカルな対話(ルーテル教会、 正教会系オリエント教会、正教会、改革派諸教会、ローマ・カトリック教会) 聖公会代祷表アングリカン・ワールド全聖公会神学・教理委員会ローマ 聖公会センター聖公会礼拝協議会全聖公会出版ネットワーク全聖公会 インフォメーション・ネットワーク国連オブザーバー全聖公会ネットワーク
事務局
 事務局はロンドンにあり、第99代の 事務総長はジョン・L・ピーターソン司祭が担っています。事務局のスタッフは、 ランベス会議、首座主教会議、ACCに奉仕しています。 それらは、会員数や財政に合わせた聖公会のすべての教会の支援による 全聖公会関係予算によって成り立っています。メンバーの教会とその他の組織は、 パーソナル・エマージェンシー・ファンドのような、協議会によって認可された 特別なプロジェクトへの貢献も期待されています。
The Anglican Communion Secretariat
157 Waterloo Road, London SE1 8UT, England
Tel: (0171) 620 1110
Fax: (0171) 620 1070
IAIN/Quest: ACC
Internet: acc@ecunet.org
Produced by the Communications Department - January 1997
アングリカン・コミュニオンの教会
アオテアロア・ニュージーランド・
ポリネシア聖公会
オーストラリア聖公会
バングラディッシュ聖公会 ブラジル聖公会
ブルンディ聖公会 カナダ聖公会
中央アフリカ聖公会 セイロン聖公会(スリランカ)*
英国聖公会(ヨーク、カンタベリー) インド洋聖公会
アイルランド聖公会 日本聖公会
エルサレム・中東聖公会 ケニア聖公会
大韓聖公会 メラネシア聖公会
メキシコ聖公会 ミャンマー聖公会(ビルマ)
ナイジェリア聖公会 北インド教会
パキスタン教会 パプアニューギニア聖公会
フィリピン聖公会 ポルトガル・ルシタニア教会*
ルワンダ聖公会 スコットランド聖公会
スペイン改革監督教会* 東南アジア聖公会
南アフリカ聖公会 南アメリカ聖公会
南インド教会 スーダン聖公会
タンザニア聖公会 ウガンダ聖公会
米国聖公会 ウェールズ聖公会
西アフリカ聖公会 西インド諸島聖公会
ザイール聖公会
(注)*の印が付いている教会は管区ではありません。
 このほかに、バミューダ、台湾、キューバ、香港、マカオ、コスタリカ、 プエルトリコ、ベネズエラに特別教区があります。いくつかの新しい管区が、 現在でも形成されつつあります。
 コミュニオンにある教会には、マル・トマ・シリア教会、フィリピン 独立教会、ヨーロッパにあるいくつかのルーテル教会や復古カトリック教会も 含まれています。中国教会は、聖公会も含めて形成された「教派以後の教会」 として知られています。
福音宣教の10年
 アングリカン・コミュニオンにおいては、この千年期の最後の10年を、 福音宣教の10年と位置づけています。キリストの福音を分かち合うことは、 それぞれの独自の方法による、教会とそのすべてのメンバーの仕事です。管区、 教区、パリッシュ、宣教のための組織は、様々なプログラムによって、 キリスト者が福音宣教を成し遂げることを可能にします。
コンパス・ローズ
 アングリカン・コミュニオンのエンブレム、コンパス・ローズは、 もともとニューヨークの故エドワード・ウェスト氏によってデザインされた ものです。現在のデザインは、ギルズ・ブルームフィールド氏によるものです。 カンタベリー大聖堂の本堂におさめらたこのシンボルは、1988年のランベス会議 の最後の聖餐式において、カンタベリー大主教によって捧げられたものです。 大主教は、その使用がますます世界大になることをあらわして、1990年に ワシントン大聖堂にも同様のシンボルを、1992年にはニューヨーク大聖堂に オリジナルデザインのものを捧げました。中央は、聖公会にその起源を思い 起こさせる聖ジョージの十字です。十字架のまわりに「真理はあなたがたを 自由にする」とギリシャ語で刻まれており、コンパスは、聖公会の世界中への 広がりを思い起こさせます。一番上のマイターは、コミュニオンの教会の核心に ある主教制と使徒職の職務を強調しています。
 コンパス・ローズは、聖公会の教会の家族によって広く用いられており、 全聖公会事務局のロゴにもなっています。そして、コミュニオンの一致のシンボル として用いられています。
 主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが常に私たちと共に ありますように。

ジェームズ・ローゼンターク
アングリカン・コミュニオン・コミュニケーション・ディレクター
ロンドン, イギリス
エディター, アングリカン・ワールド

翻訳者:相原太郎 Mail to: SGZ00203@niftyserve.or.jp

[付記]翻訳者・相原太郎師のご諒解を得て、此処に掲載することが出来ました。

心から感謝致します(1997.08.03.)。Webmaster(Kunio Ohta)

日本聖公会九州教区