2001年10月31日

 日本聖公会各教区事務所御中

                             2001年10月31日
                             日本聖公会管区事務所
                             総主事 司祭 サムエル輿石勇


主に在って平和のご挨拶を申し上げます。
去る28日の日曜日午前9時ごろ(現地時間)、パキスタンのカトリック教会で、主日礼拝の最後の聖歌を歌っていたプロテスタント教会の信徒たち15名が、覆面をして自動小銃を持った複数の男に射殺されたと報道されたことは記憶に新しいところです。世界教会協議会(WCC)の情報によりますと、この被害にあった信徒(牧師も含まれています)たちは、聖公会の一員であるパキスタン教会(Church of Pakistan)に属しております。現地からの情報によりますと、この会衆はパンジャブ州のムルタン教区(John Victor Mall主教)のバハワルプール教会で、約100人の信徒からなっているとのことです。この会衆を司牧するエマニュエル・アラー・ディッタ牧師も射殺された一人です。モール主教は「わたしの教区の15人が殺され、5人が重症で入院中であり、10人は軽症で治療を受けて退院しました」と語っています。
バハワルプールにあるカトリック教会ドミニコ会のバクシ修女は目撃者の一人ですが、次のように語っています。「あの教会の方から聞こえる自動小銃の音に怯えていました。ことは僅か5分ほどで終わりましたが、わたしは4人のひげの男が逃げて行くのを見ました。(彼女は銃撃後最初に教会に入った一人ですが)教会の中は血だまりの中に幼子も女性も倒れているという凄惨な状況でした」。
この件につきましては、パキスタン政府をはじめパキスタン教会協議会なども抗議の声明を出しております(世界教会協議会総幹事の生命を添付いたします)。既に、多くの人の懸念や反対にもかかわらず米英軍を中心とするアフガニスタンに対する攻撃が開始されて以来、非戦闘員の中に多数の死傷者を出しており、モスリムの反発を引き起こしております。また、既にお伝え申し上げましたように、英米ではアラブ系と黙される人々への明らかなあるいは暗黙の攻撃が生じており、それがまたモスリム急進派と見られる人々による爆破その他の事件を誘発しております。今回のバハワルプール教会の惨事も、米英の軍事行動開始以来、パキスタンのキリスト者たちが予測していたことでありました。
このような事件があちこちで多発しており多くの被害者が出ております。しかし、今回は、パキスタンにおける私たちの宣教協働者がその礼拝中に襲われましたので、特にご連絡申し上げる次第です。日本聖公会からはパキスタン教会議長宛て書簡を送ると共にバハワルプール教会被害者家族にお見舞いとして50万円相当額をお送りすることにしております。
戦闘行為の早期終結と各地域における相互の襲撃停止のために、引き続き祈りましょう。
癒し主である平和の君が、私たち全ての怒りや憎しみ、また悲嘆と絶望とを、慈しみと希望に変えてくださいますように。アーメン。



                           2001年10月30日
ゲオルゲス・レモポウロスWCC総幹事代行は、10月29日にパキスタン共和国の大統領であるパルヴェーズ・ムシャラフ陸軍参謀長にあてた書簡の中で、今週の日曜日にバハワルプールで起き、17人のキリスト者が死亡するという結果をもたらした攻撃とともに、「現に高まっている宗教的に不寛容な環境の中で少数者であるキリスト者の安全と警護」について深い憂慮を表明した。WCCは、同日の攻撃について司法による調査を求めるとともにパキスタンの少数者であるキリスト者の警護を確実にする措置を求める、パキスタン教会協議会の要求を支持している。

同書簡はまた、アフガニスタンに対する軍事行動の早急な終結を求めるWCCの訴えを改めて強調している。

同書簡の全文は以下の通り。

「10月28日、日曜礼拝がパキスタン教会のエマニュエル・アラー・ディッタ牧師によって守られていた、バハワルプールにあるローマ・カトリックの聖ドミニコ教会を、覆面をし銃をもった男たちが攻撃したというテロ行為を、世界教会協議会は深く憂慮しています。銃をもったその男たちによる無差別な銃撃によって、17人の礼拝者が殺され、女性や子どもたちを含む30人が負傷しました。

世界教会協議会はこの国際地域における最近の情勢に憂慮をもってこれを見守ってきました。10月2日にWCCの総幹事であるコンラート・ライザー博士が国連のコフィ・アナン事務総長にあてた書簡の中で、WCCはアフガニスタンで国際同盟軍によって開始された軍事行動に懸念を表明しました。WCCは米国と英国に対し、その行動を早急に止めるよう訴えました。

私たちは、アフガニスタンで続けられている爆撃によってパキスタンの国民と貴政府が直面している困難とともに、その爆撃によって民間人の被害者がますます増えつつあることを承知しています。これによってパキスタンの社会の中に憤りや分裂が起きています。現在の機器に対する貴閣下の政府のしかたを高く評価しつつも、私たちはそれでもなお、現に高まっている宗教的に不寛容な環境の中で少数者であるキリスト者の安全と警護について深く憂慮いたします。

パキスタン教会協議会は、テロリズムと闘う国際同盟軍に加わるという貴政府の決定を支持してきました。去る日曜日にバハワルプールで起きた殺害事件に鑑みて、同協議会は、この凶悪な行為によって有罪とされた者たちが裁判にかけられるよう、事件について司法による調査を求めます。世界教会協議会はパキスタン教会協議会によるこの要求を支持します。私たちはこの困難な時代の中で貴閣下の政府を支持し続ける一方で、少数者であるパキスタンのキリスト者の安全と警護をもたらすために必要なあらゆる措置を行うよう、強く要請します。


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